こんにちは、カンボジアに住んでいたmoriです。
カンボジアは日本と違い一年中暑い熱帯にあります。
日本とはまったく違う熱帯という環境では、熱帯に特有の病気があるものです。
今回はそんな熱帯特有の、蚊が媒介する病気デング熱について書きたいと思います。
ぼくはカンボジアでデング熱に罹り1週間の入院生活、その後1ヶ月にわたるリハビリを経験しました。

入院中の血液検査の結果。Platelet Count(血小板)が正常値(150〜450)なのに36しかありませんでした。
この経験から、デング熱がいかに恐ろしい病気かということを痛いほど思い知らされました。
こんな酷い病気にはかからないにこしたことはないので、デング熱に感染しない方法や治療についてぼくの経験を元にお伝えしますね。
蚊が媒介する「デング熱」ってなに?
デング熱っていうと日本人にはあまり馴染みのない病気です。
それもそのはず、日本にはない熱帯特有の病気なんです。しかし、近年日本でも感染者が出たということでニュースでも大きく取り上げられました。
今年も蚊にご用心 デング熱・ジカ熱…妊婦も不安:朝日新聞デジタル
デング熱とは一体どんな病気なのでしょうか?Wikipediaにはこのような説明があります。
デング熱(デングねつ、まれにデンゲ熱とも、英: dengue fever, breakbone fever)とは、デングウイルスが原因の感染症であり、熱帯病の一つである。蚊の吸血活動を通じてウイルスが人から人へ移り、高熱に達することで知られる一過性の熱性疾患であり、症状には、発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛(英語版)、はしかの症状に似た特徴的な皮膚発疹を含む。
デング熱 – Wikipediaより引用
デング熱はネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどの蚊が媒介する病気です。多くの人は感染しても発症する可能性は低いんですが、免疫力が落ちている人などは発症することがあるんです。
ヒトスジシマカは日本のほとんどの地域に生息しているので、ウイルスが日本に持ち込まれる大変。日本中に拡大する恐れがあります。
そして、デングウイルスには4つのタイプがあります。一度感染するとそのタイプのウイルスには終生免疫ができるんですが、別のタイプのウイルスに対する免疫は短期間になるんです。
そして怖いのは異なる型のウイルスに感染し続けると、デング熱にとどまらず重度の合併症(デング出血熱など)を発症して死亡してしまう危険性があります。
デング熱の治療方法は対処療法。だから予防が一番大事
デング熱は対処療法が治療方法になります。インフルエンザのように薬を飲んだら治るっていうような病気じゃないってこと。
自分自身で治癒しないといけないんです。体力をつけるために栄養剤の点滴、ビタミン剤の服用、高熱を下げるために解熱剤の点滴などが主な治療方法。
この期間が本当に苦しいんですよ。激しい倦怠感のため、1週間ほとんど食べ物も食べられず点滴だけで過ごしました。
発熱しては解熱のための点滴を打ち、水分、栄養補給のために24時間点滴を打たれ続けたんです。ほんとうに二度とデング熱にはかかりたくないです、本当に。
デング熱ってこんなつらい病気なんで予防しましょう!
カンボジアの蚊を甘く見たら大変なことになりますよ。都市部のプノンペンでも十分感染するリスクはあります。
蚊は昼行性なので昼の対策は最重要
デング熱を媒介する蚊は昼行性なので、昼間の蚊に対する対策は特に重要。
虫除けスプレーはもちろん、長袖長ズボンを着用、靴を履くなど肌の露出はできるだけ避けた方が良いです。
防虫仕様の服もあるんですね。UVカットもついてるのでいいかも。
寝てる時は無防備。だから夜は部屋に蚊を入れない対策を!
寝ている時って無防備じゃないですか。寝ている時に蚊に刺されまくったっていう経験をした人も多いんじゃないですか?
夜はとにかく寝室に蚊をいれないことが重要です。蚊帳を使うか虫除けスプレーを使うと良いですよ。ぼくは虫除けスプレーがおすすめです。お手軽な上に強力です。
一回スプレーするだけで12時間蚊がいなくなるスプレーは効果絶大でした。かなりおすすめです。
デング熱の潜伏期間は約1週間。発症後は強烈な悪寒で一睡もできない
デング熱は潜伏期間が約1週間と言われており、感染しても発症するまでに時間がかかります。
発症時には風邪だと思いましたね。朝起きたら頭がぼーっとして食欲もない。ちょっと熱も出てたかも知れません。でもまあそのうち治るかって甘い考えて仕事に行きました。
午前はなんとか頑張れたんですが、お昼になるともう限界って感じ。歩きたいのにめまいがして歩けない。そのまま必死の思いで宿泊先のホテルに戻りました。
そしてだんだんと体調は悪化。食欲はまったくなく、同僚が買ってきてくれたレッドブルをストローでちびちび飲むのが精一杯。
そのまま悪寒がだんだんと悪化し、その夜は一睡もできませんでした。
朝になってもまったく調子は良くない。
さらに悪いことに、ぼくがデング熱を発症した場所はカンボジアの地方都市(コンポンチュナン)。信頼できる病院がなかったこともあり急遽プノンペンに戻ることに。
距離にして約100km。タクシーを飛ばして帰りました。
プノンペンにある、日本人の先生が開業しているケン・クリニックに着いて体温を測ると熱は下がっていました。
ということで軽い問診程度で終わったんですよ。診断結果は熱中症。家で安静にするように言われて帰宅です。
しかし夜中はどういうことでしょう!再び悪寒と発熱に襲われ一睡もできなかったんです。
翌朝は真っ先にケン・クリニックに直行。昨夜のことを話すと先生の顔に「もしや」という表情が。
すぐに血液検査をして結果を待つこと約30分。
デング熱確定!
そのままカンボジアでも最大級の病院(ロイヤルラタナック(現在はロイヤルプノンペン病院))に入院です。
驚きの連続!デング熱の入院生活
カンボジア最高レベルの病院に入院したのですが、ここでも驚きの連続だったんですよ。
24時間ずっと寝たきり点滴生活
病院では24時間ずっと点滴を打たれ続けました。入院時に腕に針を刺されて、退院直前までずっと腕から点滴のチューブが抜けることはなかったんです。
ひたすら水分と栄養補給のための点滴を打たれ続けました。熱が上がってきたら解熱剤も追加で点滴する感じ。
入院中はずっと部屋の中。ベッドに横になって、ひたすら朝から晩までNHK ワールド プレミアムを見てましたね。
入院していた時はちょうどカンボジアは雨期。夕方になると外から雷や激しい雨の音が聞こえてきたので、スコールなんだということは分かるんです。
でもそれも次第に全部人ごとのような感じに思えてきました。
この部屋は外とは完全に隔離されているような感覚。先生や看護師さんが入って来る時に、ドアの隙間から見える外の世界に憧れるようになってきました。
もう生きてる心地がしませんでしたよ。
血が止まらないので歯磨き禁止
デング熱になると血小板が減ります。血小板っていうのは、出血した時には傷口を塞いで血を止める役割があるのですが、血小板が少なくなることによって血が止まりにくくなるんです。
だから出血のリスクを減らすように歯磨きも禁止です。かわりにリステリンみたいな液体で口を漱ぐ感じです。
これが入院中の血液検査の結果。血小板が真ん中の方に書いてあるんですが数値がすごいことになってます。Platelet Count(血小板)が正常値(150〜450)なのに36しかありませんでした。
これを臨床検査技師の友人に見せたらめちゃくちゃ喜ぶこと!
なんでそんなに喜ぶのか聞いたんですよ。そしたらこんな答えが。
とっても珍しいらしく、このデータがほしいっていうのであげました。
病院食なのにステーキにビール?目を疑う食事
食事もなかなかハード。なぜか病院食がなくて、近くのカフェからデリバリーしてくれるんですよ。
メニューはもちろん病人向けじゃないし。たとえばこんな食事がメニューに並びます。
- 焼きそば
- 焼きめし
- お粥(具材山盛り)
- ステーキ
- パンケーキ(フルーツ山盛り)
- スムージー
- カフェラテ
- ビール
ビール???
もう何でもありです…
当然のことながら食事はほとんど食べられません。食べても一口二口がいいところ。
一番症状が酷い時には1日何も食べられなかったんです。空腹感すら感じない身体になってしまってましたね。
真夜中の検査でたたき起こされる
そして極めつけが真夜中の検査です。まあ定期的に検査する必要があるんでしょうが、夜中に起こされて血を抜かれるのってきつかったです。
この検査結果を見てもらったらわかりますが、1時47分とか完全に真夜中!
意識が朦朧としている中での採血もなかなか辛いもんでした。
デング熱は1週間で完治。しかしリバビリは続く
辛い入院生活も5〜6日程経つと回復傾向に。
結局、血液検査の結果が良くなってきたので1週間で退院できました。
しかし退院後も大変。一番キツイのは体力。
1週間寝たきりだったんで歩けないんですよ。ちょっと近所までもトゥクトゥクを使うありさまです。
結局、体力が戻って自分の思う通りに動けるようになったのは退院後2、3週間経ってからですね。いやぁ本当に長かった。
完全にデング熱のおかげて1ヶ月を無駄にしてしまいました。
デング熱にかかると失う時間がハンパない。本当に予防が大切だよ
デング熱を実際に経験したぼくが言いたいこと。それは
デング熱は発症してからでは遅い。予防が一番大事!
ってこと。とりあえず注意するのはこの3点。
- 体力をつける(デングを発症しない体力を手に入れる)
- 蚊を駆除する(噛まれなれば発症しません)
- 蚊に噛まれないような服装をする
予防できたらそれにこしたことはありませんが、万が一デング熱にかかってしまった時にも大丈夫なように保険には入りましょうね。
ぼくの場合は1週間の入院でかかった費用は20万円程でした。
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