観光地で生活する人がいるという事実
滋賀県には針江という地下水が豊富に湧き出る場所があります。豊かに湧き出る地下水は川となって小さな町の中を流れ、それは本当に美しい景色を作り上げているんです。
多くの家庭には敷地内に川端(かばた)と呼ばれる地下水をくみ出している場所があり、そのきれいで豊かな水を生活に取り入れて生活されています。
テレビなどでも度々取り上げられるその景色に心打たれてやって来る観光客も多く、ぼくもそのうちの一人でした。
針江地区にやってきて初めて知ったのですが、ここは自由に観光ができない場所なんです。町中を勝手に歩き回って写真を撮ったりするのも禁止。その理由は観光客が勝手に人の家の敷地内にまで入って行ってしまうから。特に子どもたちがそうした観光客に対して敏感になっているからなんだそうです。
観光客としてはせっかくやって来たのに自由に見ることもできないなんでガッカリしたり、そういうルール自体を非難する人も中にはいるでしょう。
でもよく考えてみてください。観光客はほんの少しの時間見せてもらうだけだと考えているかも知れませんが、住んでいる人にとっては何人も何人も訪れる人に生活を覗かれるのは少しの時間ではないんです。誰だって自分の家や町に知らない人がやって来てうろつかれるのは嫌なもんじゃないですか。
だからこのようなルールが定められているんですよね。観光地で生活する人たちが主役です。決められたらルールにぼくは従いますよ。
観光地にするか否かは住んでいる人が決めるべき
観光地はそう言われるだけの素晴らしい観光資源があるわけですよね。このような素晴らしいものを見たいと思うのも仕方ないこと。
もしもっと多くの人に見せたるべきだと思うなならば最低限この地に移住すべきです。自分が実際に住んでみて自分の家を解放するなり、現地の人たちにさらなる観光客の受け入れを提案すべきじゃないかな。現地の生活を経験したこともないのに、そこに住む人たちの生活を壊してしまう可能性のあることを要求するのは身勝手です。
多くの人を受け入れるべきだという意見は外部からではなく内側から提案されるべきじゃないですか?
観光地化する流れは止められないからそこ各々がもっと思いやりを持とう
このようなことを思っていてもきっと多くの人は訪れるようになるでしょう。素晴らしい観光資源を持つ場所であればあるほどそうならざるを得ない。
ぼくらは多くの人に開かれた観光地であれ、あまり開かれていない場所であれ、現地に生活している人がいて、彼らこそがこの土地の主役なんだという思いを持って様々な素晴らしい場所を巡りたいですね。