勲章を受章した料理人の教えは”美味しい料理を作ることが第一”
ぼくが親しくさせてもらっているシェフに料理について話を聞く機会がありました。その人の料理に対する哲学というものを知ることができたいい話だったので紹介したいと思います。
話はそのシェフ(仮名:佐藤さん)が料理の世界に入って最初に修行をしたお店から始まります。佐藤さんは調理師学校を卒業してから日本料理店に努めだしました。その店を仕切っていた料理長がよく言っていた言葉がこれ。
“料理人で一番大事なことは。美味しい料理を作ること。お金のことは気にしなくてもいいからとにかく美味しい料理を作るっていうことをまず第一に考えてやれ”
佐藤さんはこの言葉にすごく影響を受けたんだそうです。料理屋で働く、特に自分でレストランや料理屋を経営するってなると料理を作る以外にも、食材や人件費などいろいろなことを考える必要があります。制限されたなかで料理を作っていかないといけないから、使いたい材料があってもより安いものを使わないといけないことも。
でもその料理長は料理を始めたばかりの新人に料理人として一番大事なことは美味しい料理を作ることであるから、お前は予算のことなんて気にするなって言ってくれたんですよ。
お金のことは全部俺が責任を持つ。お前はまず料理人として最も大切な美味しい料理を作れるようになるっていうことを最優先でやれ。
かっこいいですよね。駆け出しの新人に対して、料理人として一番大切なものは何かっていうものをしっかりと教えてくれた良い指導者です。
レストランなんかは良い雰囲気の場所も多くあります。雰囲気最高な場所なんかに行くと興奮しますよね。確かに雰囲気っていうのはとても大事だとは思います。でも料理人にとってもっと大事なことは美味しい料理を作ること。佐藤さんは思いは今も変わっていないようでした。
料理の味は一手間かけられるかどうか
佐藤さんの口癖でこんなものがあります。
“料理っていうのは一手間をかけられるかどうかで全然違う”
たしかに佐藤さんは料理に対しては妥協をしないタイプ。自分が食べて美味しいと思えないものが絶対にお客さんには出さないっていうことを貫いています。だから料理にはすべて手間暇かけているんです。
カレーだって市販のルーをそのまま使うようなことは絶対にしません。スパイスをブレンドするところからはじめて、大量の野菜、果物などと一緒に煮込んで仕上げていきます。
トマトソースにしてもデミグラスソースにしても鍋で何時間も炊いて作ります。ドレッシングや料理に使うタレなんかもほとんど自分で調合してつくるほどのこだわりぶり。
これは3時間かけて作ったミートソースを使ったラザニア。ホワイトソースももちろん手作り。
これは1週間かけて作ったビーフシチュー。とろとろの黒毛和牛が入ってます。
佐藤さんの経営している店はカレー専門店でも、洋食屋専門店でもないんですよ。和洋中の料理をいろいろと置いている店ですが、これだけ手作りに拘っているんです。その理由は一手間をかけると料理は美味しくなるっていう考え方からなんですね。本当にその姿勢には頭が上がりません。
佐藤さんはこう言ってたのが印象的でしたね。
“ちょっとでも手間をかけたら美味しいものが作れるのに、なんでみんなは手を抜くんだろう?市販品をそのまま出すのは料理人として納得できない。”
料理は一生勉強するものでゴールはない
佐藤さんのもう一つの口癖はこれ。
“料理なんて一生勉強や。自分の料理だって美味しいなんて全然思わない。”
佐藤さんは本当に料理に関して勉強熱心です。色んな店の料理を食べ歩き、美味しいものを見つけたら自分で実際に作ってみるんだそうです。今でもハンバーグをもっと美味しくするにはこんな風にしてみようかとか、以前ホテルで食べた最高のタルタルソースを自分でも作れるようになりたいって仰ってましたね。
佐藤さんの料理を何度も食べてますが、美味しいんですよ。もう十分美味しいよって思うんですが、佐藤さんは全然満足していないとのこと。
美味しい料理を作れるようになるには謙虚に学ぶ姿勢が大事。自分の料理はこれで十分だと思っていたらそこでおしまい。
まとめ
レストランは雰囲気も大事だけど、もっと大事なのは美味しい料理を出すってこと。料理あっての雰囲気です。
市販品ばかり使うんじゃなくて、ちょっと一手間をかけてみる。この一手間で料理の味がぐっとあがる。
料理は一生勉強。ゴールなんてない。