【前編】家さえも捨てて単身カンボジアへ!香川の元看護師・楠川富子さんの活動を見てきたよ

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カンボジアの国際協力(ボランティア)
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カンボジアを愛する楠川富子さんとはこんな方

こんにちは、カンボジアが大好きなレイです。

2016年10月の末から1週間ほどカンボジアに行ってきました。

カンボジア訪問の目的の1つが、うどんハウスプロジェクトをカンボジアでされている楠川富子さんにお会いするため。

楠川さん

まず最初に楠川さんと、うどんハウスプロジェクトについて簡単に紹介したいと思います。

すごい行動力に脱帽!楠川さんとはこんな方

ぼくと楠川さんが最初に出会ったのはちょうど2012年のことです。

ぼくはJICAの行っている海外ボランティア「青年海外協力隊」の隊員としてカンボジアで活動をしていました。

楠川さんも同じくJICAの「シニアボランティア」として活動をされてたんです。

活動内容は、カンボジアの首都・プノンペンにある国立小児病院での医療支援。

その時のご縁で、4年経った今もずっと親しくさせていただいています。

楠川さんは本当にすごい方で、とても尊敬してるんです。

楠川さんの魅力というかすごいところは並外れた行動力

そして素晴らしい笑顔!

ぼくが笑顔を作ると引きつった顔になって胡散臭さ全開になるんですが、楠川さんの笑顔はほんとうにピュアで素敵!

楠川さんのように行動力があって明るく生きて行ける人間になりたい。

楠川さんにお会いしてからそんな風に思ってます。

行動力の素晴らしさはこんなところにも現れています。

シニアボランティア時代の功績が認められて数々の賞を受賞されているんです。

受賞歴
  • カンボジアのフンセン首相から表彰
  • カンボジアのシハモニ国王からゴールドメダルを授与される
  • JICA理事長賞受賞

当時JICAの理事長だった緒方貞子さんから表彰状を受け取られています。

楠川富子SV(香川県出身)がJICA理事長賞を受賞! | トピックス(2011年度) | JICA四国 – JICA

レイ

首相や国王から表彰されるってすごい!

こんなにもアクティブに色んなことを成し遂げられたのは、すべてはカンボジア愛

シニアボランティアの任期が終了した後は、カンボジアにすべてを捧げるという思いで着々と準備を進められてきました。

香川に行った時、楠川さんにお会いしたんですがとても印象に残る言葉を口にされてました。

  • カンボジアで保健室を立ち上げたい
  • カンボジアに骨を埋める
  • 日本の家も売ってしまおうと思う
  • カンボジアが好きでたまらない

そして実際にカンボジアに保健室を立ち上げてしまったのです!

本当にすごいとしか言いようがありません。

香川でお会いした時の楠川さん。

髙松駅で偶然にもカンボジアのイベントが行われていました。

髙松駅でのカンボジアイベント

そしてカンボジアに戻って来られた楠川さんは、シニアボランティア時代を振り返ってこのようにおっしゃいました。

シニアボランティア時代、自分は現地の人に寄り添っているって思っていた。

でも実際にはそうではなかった。

レイ

どういうことですか?

あの時の自分は「いずれかは帰ってしまう人」だった。

これはボランティアにはつきものの大きな問題です。

ボランティアはずっとその場所にはいない。いずれ任期が終われば自分の国に帰ってしまう。

帰ってしまう人に対してお客さん以上にはなれなかったんだと感じられたそうです。

仕方ないって言えば仕方ないんですよね。

今の楠川さんはこの国に骨を埋めるつもりだと言います。

これは覚悟を決めた人間にしか分からないこと。

まだまだぼくには分からないことなんだろうなぁ。

日本の生活を捨てて単身カンボジアへ渡ってこられた楠川さん。

そのことだけを聞くとすごくネガティブなイメージを持つかも知れません。

でも楠川さんはめちゃくちゃポジティブなんです。

ご本人もこんな風におっしゃってるんですよ。

レイ

カンボジアに来てからめちゃくちゃポジティブになれた。わたしはこの国が合ってるんや〜

満面の笑みでそう話す楠川さんはめちゃくちゃ幸せそう。

この笑顔からは想像もできないんですが、日本で看護師をされていた時にはネガティブ思考の持ち主だったんだそう。

それが環境が変わるだけで、これほどまで自分が変わってしまうなんてとご本人もビックリされてました。

環境って性格まで変えてしまうんですね。それにしても楠川さんの笑顔が眩しすぎる!!

カンボジアの子ども達のいのちと健康を守る「うどんハウスプロジェクト」

楠川さんが立ち上げた「うどんハウスプロジェクト」についても紹介していきましょう。

うどんハウスプロジェクトを紹介するパンフレットをいただきましたので、この中からいくつか抜粋してみます。

こちらがパンフレットです。

うどんハウスプロジェクトのパンフレット

この中に書かれている「団体概要」から

世界の未来をつくるのは、子供たちである。生存権、教育権が保護されていない環境にある子供たちが少なくない。カンボジアの子供たちの健康と教育を支援しています。

・学校保健教育として、学校保健指導者が育成され、衛生活動の啓発や衛生改善教育を実施し、子供たちの健康を支援しています。

・草の根で地域の人々に、寄り添い子供たちのいのちと健康を守るため子供達には衛生教育・母親に栄養指導をする保健医療活動に取り組んでいます。

活動内容はここに書かれている7つです。

  1. カンダール州の小学校にモデル校として学校の保健室
  2. 衛生教育・体育
  3. 健康保持のためのインフラ整備
  4. 教師研修
  5. 安全についてのサポート
  6. 全校生の健康診断実施
  7. 環境整備

うどんハウスプロジェクトの活動内容

楠川さんとお話ししていた時によく出てきた言葉があります。

それが「現場」、「臨床」、「寄り添う」という言葉。

楠川さんが現地の人に寄り添って、一緒に保健教育をやっていきたいという強い思いがすごく伝わってきました。

その思いがかたちになったのが「うどんハウスプロジェクト」なんですね。

ちなみに楠川さんは香川のご出身なので「うどん」ハウスなのですが、実はもう一つカンボジアには「うどん」繋がりがあるんです。

しっかりとパンフレットにも書かれてました。

カンボジアには「ウドン(Oudong)」と言う地名があるんです!

うどんハウスの名前の由来

プノンペンから北の方へ車で1時間ほど行ったところにある古都です。

カンボジアの古都・ウドン

小高い丘に寺院があります。

カンボジアの医療現場で見た悲惨な現状

楠川さんはシニアボランティア時代、プノンペンにある国立小児病院で活動されてきました。

ここでの経験を聞いてぼくは鳥肌が立ちました。

本当にこんなことが実際に起きているのか信じられなかったからです。

麻薬を口に詰めて病院にやってくる人たち

最初に話していただいたのが病院にやってきたお母さんの話です。

そのお母さんが病院で口からベッと吐き出したもの。初めに見た時には血痰だと思ったのだそう。

色が赤くて口から出てくるものって言ったら血痰を疑うのも無理はありません。

でもよく見てみると血痰ではなかったのです。この赤いものの正体は麻薬!

カンボジアのローカルな市場では、比較的かんたんに麻薬のような薬物を手に入れることができるんだそう。

きっとこのお母さんは痛みを抑えるために、口の中に麻薬を詰めてきたのではないかということでした。

健康に対する低すぎる意識。病院にやってくるのは手遅れになってから

カンボジアではまだまだ健康に対する意識は低く、多くの人が自己判断をして薬を服用するケースが非常に多いそうです。

頭が痛いから鎮痛剤。咳がでるから風邪薬といった具合にです。

でもそういうことをするのは非常に危険と楠川さんは言います。

実際に、こういう自己判断で命を落としたケースを見てこられたそうです。

体の調子がずっと悪かった人がいたそうです。

その人はずっと自己判断で薬を飲んできたんだといいます。

薬を飲んでもどうしても耐えられなくなって初めて病院に来たんですが、すでに手遅れの状態。

もう言葉がでません。

もちろん経済的な問題も大きいんです。

医者に行きたいけどお金がないので行けない。薬を買いたいけど買えない。そんな人が大勢います。

これはぼくのカンボジア人の友人の話ですが、薬を買うお金を捻出するために家や土地を売ったという人もいるんだそう。

カンボジアでは質の良い医療は富裕層のためのもの。まだまだ一般の人たちが良質の医療が受けられる状況にはほど遠い状況なんです。

2016年10月に開院した日本の病院・サンライズジャパン病院は、カンボジアに平等な医療を普及させるということをミッションに掲げられています。

早く多くの人が最低限の医療が受けられるようになることを願うばかりです。

子どもの朝食はスナック菓子と炭酸飲料という衝撃

カンボジアの小学校に早朝にいくとよく見られる光景に、生徒達の朝食があります。

多くの小学校には敷地の中やすぐ側に屋台が出ていて、スナック菓子やジュースなどを販売しています。

そして子ども達はここでスナック菓子や炭酸飲料を買って朝ごはんにしているんです。

ぼくも協力隊時代には学校で活動していたので、こういう光景は日常的でした。

お店にはコーラなどの甘い炭酸飲料が大量に置かれています。

店には大量の炭酸飲料が並ぶ

もちろんミネラルウォーターなどもありますが、飲んでる子どもはあまりみかけませんでしたね。

小さな子どもにとっては味のしない水より、甘い炭酸飲料の方がおいしいに決まってます。

ちゃんと教育を受けた大人だってコーラ大好きじゃないですか。

楠川さんは続けます。

なぜこんな食事を子どもにさせるのか?

その理由はやはりお金。

学校になる売店で買えるスナック菓子や炭酸飲料はとても安いんです。

両親が忙しいと朝ごはんを作るより、そういう場所で買って食べてもらう方が手っ取り早いって考えるのも無理はありませんね。

そして、このツケは大人になったときに払わないといけなくなります。

子どもの頃からずっとこういう食事を続けた結果、カンボジア人には糖尿病や高血圧の人が多いんだそう。

食事の大切さに対する教育の不足、金銭的な問題が重なってこのような状況になってしまっているのかも知れませんね。

日本じゃ考えられないけど、これがカンボジアの現状なんです。

高血圧が原因で学校で死亡した教師

食事をないがしろにした生活は、年齢を重ねる毎に体に不具合をもたらしていきます。

日本だったら会社の健康診断が毎年ありますよね。

情報の真偽についてはどうかと思いますが、テレビやネットなどでも健康に対する情報が溢れかえっています。

そういう状況なので自分の健康について少しでも考えようとするものですが、カンボジアでは状況が全く違います。

食に対する教育もなければ、健康についての意識も低い。

そして体の調子が悪くなっても病院に行かない(行けない)。

そして自己判断での治療。

これらが積み重なって悲劇がおこるのです。

ある学校の先生は、学校で倒れて病院に運ばれました。

残念なことに、そのまま亡くなられたそうです。

原因は高血圧。

学校を作っても使われない?放置された学校がカンボジアには山ほどある

カンボジアって言うと何をイメージしますか?

  • アンコールワット
  • 地雷

こんな感じですかね。でももう一つこんなものをイメージしませんか?

学校を建てる

よくテレビなんかでカンボジアに学校を建てよう!ってやってますよね。

ぼくも学校を建てることには反対じゃないんですよ。

でも「ただ建てるだけ」の学校建設には反対です。

ぼくがただの学校建設に反対する理由はこちらをどうぞ。

楠川さんも寄付で建てられた“だけ”の学校についてこのようにおっしゃられてました。

学校にトイレを作ってもたった2ヶ月で使われなくなった

え!?どういうこと?

ですよね。

ある学校には生徒の数に対してトイレの数が全然足りなかったそう。

だから生徒は校庭で用を足していました。これでは全然衛生的ではありません。

そこである支援団体がトイレを建てたらしいんです。

でもそのトイレは先生が使うということで、なんと施錠されてしまいました。

これじゃあまったくトイレを建てた意味ないです。

楠川さんはこうおっしゃいました。

学校を新しく建てたけど、水がないのでそのまま使われなくなってしまった

学校というハードは建てたけど、水がないというパターン。

水がなかったらそりゃあ学校は使われなくなりますよね。

学校という”物”を建てることに一生懸命になるけど、その後に関しては知らんぷり。無責任ですね。

ちなみにこんな感じで学校を建てるだけというのは日本だけじゃなくて、色んな国も同じようなことをしているそうです。

これは日本のテレビ局のお話なんですが、使われなくなってしまった学校の現状については一切撮影はされなかったんだそう。

まあそりゃそうでしょうけどね。なんだかなぁ。

後編はカンダール州を実際に回るよ!

前編はここでおしまい。後編は実際に楠川さんとカンダール州を回ります。

うどんハウスプロジェクトで支援を行っている学校などをたくさん紹介していただきました!

後編はこちら!

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