カンボジア社会

2017年9月カンボジアを訪れて感じた大きな不安

投稿日:2017年9月15日 更新日:

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2017年9月、ぼくはカンボジアをいつものように訪問しました。
ところが今回のカンボジア訪問では、いつものような明るい気持ちにさせられることより不安に感じることが多かったんです。

カンボジアの王宮

カンボジアの将来に対してものすごく不安な気持ちになりました。
今回はそんなカンボジアの近い将来に関する不安なことについて書きます。

2018年に行われる下院選への不安

カンボジアでは30年以上も首相が変わっていません。
首相はフン・セン。

これだけの長い期間、首相が変わらないということは本当に驚くべきことです。
そして、その長い首相在任期間に権力は首相に集中。
警察や軍までもがすべて首相側にあるとも。

こういう状況で、カンボジアの政治は腐敗しきっています。
カンボジア政府の役人に賄賂を渡すのなんて当たり前
むしろ賄賂を渡さないと何もできないと、カンボジアの友人が嘆いていたのを思い出しました。

自動車免許を取るのにも賄賂がないととれないとか意味がわかりませんよね。
カンボジア人の友人は賄賂が払えなかったので、カンボジアで運転免許をとるのを諦めざるを得なかったと言ってました。

月に数十ドルで生活を送らないといけない人、それに対して10万ドルを超える車をポンとキャッシュで買うような人。
日本でも貧富の差は問題になってきていますが、日本と比べものにならないくらいの貧富の差がカンボジアにはあります。

そんな一部の人間に富と権力が集中しているカンボジア。
もちろん多くの人が不満を抱きますよね。

その不満が表面化してきたのが2017年6月に行われた選挙。
結果はフン・セン首相の率いる与党「人民党」が勝利したのですが、一方で野党「救国党」も大きく躍進したんです。
特にプノンペンをはじめとする都市部では野党が勝利。

流れは大きく変わりつつあり、この流れが続けば2018年に行われる選挙で政権交代が実現するかもしれないという状況にもなってきました。
政権交代が起これば一番困るのは、これまで権力を握ってきた首相やその取り巻き。

最近、フン・セン首相はこのような発言もしています。
「選挙に負ければ再び内戦になる」

軍の実権を握っているフン・セン首相が、その力を使ってまた争いを起こすのではないか?
そう思ってるカンボジア人も多いみたいです。

何人かのカンボジア人からこんな話を聞きました。

カンボジア人
選挙の時には日本人は日本に帰った方がいい。何が起きるかわからない
カンボジア人
プノンペンは危ないから選挙の時には田舎に戻る
カンボジア人
選挙の時には大問題になるかも

カンボジア人の奥さんがいる友人は、彼女には選挙には早朝に行ってもらい(本当は選挙にも行ってほしくないそう)、そのまま空港へ直行して出国させることを考えているんだそう。
選挙結果が分かってきだしてからだと空港が封鎖されるかも知れないからなんだそうです。

マジかよ。

って思うかもしれないけど、こんな悲惨なことがもしかしたら2018年7月の終わりに起こるかもしれない。
嫌だけどね。

カンボジア人の爆発しそうな政府への不満

最近はカンボジアの人と話していても政府への愚痴というか怒りを聞く機会が増えました。

その中でも一番多いのが、権力者による富の独占。
カンボジアでは、権力を持っている人間はますます豊かに。一方、貧しい人は貧しいまま。

ボンコックという場所がプノンペンにあるんですが、ここをトゥクトゥクに乗って通った時のこと。
ドライバーがこんな事を言ったんです。

ドライバー
ここの土地はものすごく高いんだ。1メートル四方が1万ドル。政府の役人は金持ちだから簡単に買えるんだ。

実際にこの土地の値段が合ってるのかは知りませんが、明らかに政府の腐敗した役人にうんざりしてるような話しぶりでしたね。

そして、ボンコックっていう場所も過去に大問題が起きた場所なんです。
「ボン」というのはカンボジア語で湖という意味。

ここはもともと小さな湖があった場所。
多くの人たちがこの場所に住んでいて、漁業などを営んでいたんです。

ところがこの湖を埋め立てて土地にするために、政府はここに住む人たちを強制的に追い出しました。
これも大きな問題になり、ニュースでも大きく取り上げられたんです。
ちょうどぼくがカンボジアに住んでいた時期でした。

あの時にあったボンコック湖は、いまはもうありません。

2014年のボンコック。だだっ広い土地になっていた。

2014年のボンコック

2017年には大きな建物の建設があちこちで始まってる。

ボンコックで進む建設ラッシュ

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最大野党の党首が国家反逆罪で逮捕される

政府に反対する団体への弾圧もますます酷くなってきています。

まず最初に驚いたのがこのニュース。
2017年9月2日、最大野党「救国党」の党首であるケム・ソカ氏が国家反逆容疑で逮捕されたんです。
フン・セン首相はケム・ソカ氏を擁護するなら「救国党」を解党するとも。

政権に批判的な新聞「カンボジアデイリー」が廃刊に追い込まれる

さらに政府による弾圧は続きます。
カンボジアの政府に対して批判的な記事を掲載してきた「カンボジアデイリー」という新聞社があるのですが、突然630万ドルの税金を1ヶ月以内に支払うように通告。

「630万ドル支払えなければ荷物をまとめて去れ」

結局カンボジアデイリーは廃刊に。
最後のトップ誌面には、拘束される救国党党首ケム・ソカ氏の写真とショッキングな見出しが掲載されました。

最後のカンボジアデイリー

Descent Into Outright Dictatorship(あからさまな独裁への転落)

その他にも、政権に批判的なラジオ局、NGOなども閉鎖に追い込まれています。

米系放送局、プノンペン支局閉鎖=政権がメディア弾圧-カンボジア:時事ドットコム

カンボジア政府、米NGOの追放決定=総選挙前に締め付け強化:時事ドットコム

強引な政権運営は政権交代への危機感の現れ

こういった強行手段を使うようになったのは、やはり2018年に行われる総選挙対策なんでしょう。
政府にとって都合の悪いものをつぶすっていうのは常套手段ですから。

いろんな人から同じような話を聞いてるんですが、首相としてはなんとしてでも選挙に勝たなければいけないんです。
選挙に負けるということは自身が危険にさらされること。

これまで権力があったからこそやりたい放題やってきたわけです。
多くの人たちが不満を持っています。不満という言葉で片付けられないようなもっと大きなものかもしれませんよね。

選挙に負けて権力がなくなるとどうなるか。

カンボジアで力を増す中国の存在

選挙で勝ちたいからと言ってここまで強引なやり方でやっていけば国際的な非難を浴びるに決まってます。
それでもなぜ、強行手段をやめないのか?

それは中国の存在がとても大きいからです。
カンボジアの国内を見てみても中国の影響力は絶大。

プノンペンには中国企業の手がける高層ビルの建設ラッシュ。
道路建設でも中国企業をよくみかけます。
市バスも中国から提供されたきれいなバス。

カンボジアと中国の結びつきは本当に強いって実感しますね。
カンボジアは自国で生産するものだけでは経済を回していけないので、多くを海外からの援助に依存しています。

中国の力がここまで強くなければ、他の国から援助を取り付ける必要がありますよね。
だから国際的な非難を浴びるような、強引な政治はできないはず。

でも、中国から十分な援助が得られれば他の国の言うことは聞く必要がなくなります。
だから国際的な批判など気にする必要がなくなるんです。

強い影響力を持つ中国がカンボジアにとって良くない影響(与党にとってはいいのでしょうが)を与えています。

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めざましい発展を遂げるカンボジア。不安は増すばかり

ぼくは2011年からずっとカンボジアに関わってきました。
はじめてプノンペンに降り立った2011年、まだ街は薄暗くてとても一国の首都とは思えないなと思ったのを今でも覚えています。

それが2017年には、飛行機から夜のプノンペンを見下ろすと明るく輝くビルがたくさん見えるんです。
数ヶ月で街の景色が変わっていく、そんな成長著しいカンボジアを今までみてきました。

そこにはネガティブなイメージよりかはポジティブなイメージを持っていましたね。
若い人が多くて活気に溢れる街。
それがこれまで持っていたカンボジアの印象だったんです。

でも、今回の多くの事件を目にして不安な気持ちも大きくなってきたんですよね。
悲惨なポル・ポトや内戦をくぐり抜けて平和に発展していっているカンボジア。

それが2018年に終わってしまうかもしれない。
なんかそんな不安な気持ちを持ちました。

欧米による経済制裁の可能性も否定できない。
人権が軽視され、人々を押さえつけ続ける政治が続くカンボジア。

いつまでもこの状況が続くわけないですよね。
いつか国民の怒りが大爆発してしまう。

ぼくがどうこうできる問題ではないのはよくわかってるけど、たくさんの友人が暮らしているカンボジア。
なんとかよい方向に向かって行ってほしいと心から願ってます。

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