双極性障害をもつ人が亡くなりました。
死因は病死だったのですが、偶然病気にかかって亡くなったという風には考えられません。
双極性障害を持っていたがゆえの病死だったのではと思うんです。
今回は双極性障害を持つ人をどのようにケアしていくべきなのか?
そのあたりについて実体験を元に考えてみました。
双極性障害では自殺だけ気にすればいいのか?
双極性障害というのは精神疾患の一つ。
気分が高揚する「躁状態」と、気分が沈んでしまう「鬱状態」が交互に現れる病気です。
双極性障害にかかる人の割合は100人に1人くらいと言われていて、男女差はほとんどありません。
双極性障害など精神疾患では自殺が注目されがち。
特に『鬱状態」になった時、突発的に自殺におよんでしまうんです。
平成28年の調査では、うつ病で自殺した人は4,496人。
自殺者全体の約20%がうつ病が原因で自ら命を絶っています。
(平成28年中における自殺の状況による)
たしかにこういう状況を見ると、自殺をいかに防ぐかが大切なことのように思われます。
でも、それだけではないんです。
双極性障害などの精神疾患は自殺以外の方法でも、命が絶たれることがあります。
鬱から起きる生活習慣病によって断たれる命がある
双極性障害を持つ人にとってとても大きな問題がアルコール。
鬱状態になった人は気分を紛らわすためにアルコールを求めるようになります。
アルコールを飲めば気分が良くなって鬱状態が軽減されたように感じるから。
でも、アルコールを飲むことには大きな危険があるんです。
アルコールを毎日大量に飲むようになると、身体の色んな部分に問題が起きてきます。
- 肝臓病
- すい臓病
- ガン
- 糖尿病
他にもたくさんの問題がおきることが分かっているんです。
アルコールによる健康障害 | Alcohols | e-ヘルスネット 情報提供
双極性障害によって、これらの生活習慣病が起きて命を縮めてしまうことだって十分に考えられます。
だから、双極性障害を持つ人が身近にいるなら自殺だけでなく、アルコールについてもしっかりと見る必要があります。
双極性障害とアルコールについてはこちらの記事に詳しく書かれていました。
双極性障害のひとは、禁酒するべき! アルコール依存症になりやすいからね | メンタルハック
双極性障害を持つ人が辿る死への道のり
ぼくは医療の専門家ではないので正確なことは言えませんが、双極性障害を持った人が辿る道はこんな感じなのではないかと考えました。
- 鬱状態になる
- 気分を紛らわせるためにアルコールに走る
- アルコール依存症になり糖尿病などの生活習慣病を発症
- 抵抗力が落ちたところで感染症にかかり致命傷となる
アルコールに走ったところで急に自殺を図ることも十分に考えられます。
ぼくが見てきたところでは、アルコール摂取が病状をさらに悪化させているように思えてなりません。
双極性障害の人が実際に辿った道
先日亡くなった、双極性障害を持つ人がどのような道を辿っていったのか。
少し冷静になって考えてみました。
はじまりはやはりアルコール。
1.「リラックスしたい」が大量飲酒の始まり
鬱状態になると、頻繁に口にする言葉がありました。
リラックスしたい
そう言ってはアルコールを求めるようになったんです。
最初は少しだったんでしょうが、次第にエスカレート。
連日アルコールを飲むようになりました。
アルコールを飲んでいる時は鬱状態が和らいでいたんでしょう。
とにかくアルコールを求め続けたんです。
一方躁状態になった時には一切アルコールを飲みませんでした。
悶々とし鬱状態から逃れたいためにアルコールに助けを求めていたのかも知れません。
2.知らない間に糖尿病が進行?
恐らくそんな、躁と鬱が繰り返す生活が何年も続いたのでしょう。
知らない間に身体を蝕んでいたのかも知れません。
カンボジアには検診制度はないので、自分の身体がどうなっているのか自らの医師で病院に行けなければ知ることができません。
さらに生活習慣病に対する教育が不十分なので、なおさら自分の健康に気を使う意識は低いんです。
カンボジアの保健医療に詳しい楠川さん(元看護師でNGOうどんハウスの代表)に以前お話しを伺ったことがあります。
もしかしたら、長年の飲酒が原因で糖尿病になっていたのかも知れません。
このところは今となっては分かりません。
亡くなる直前の血液検査では血糖値が360を超えていたそうです。ちなみに正常値は110以下。
検診のないカンボジアで隠れた糖尿病を持ってのかも知れません。
3.感染症に罹患(りかん)して死亡
もし、糖尿病にかかっていたとすれば感染症のリスクが大きくなることが知られています(個人差はありますが)。
日本糖尿病協会のウェブサイトをみると免疫機能の低下と細血管障害が挙げられていました。
免疫機能の低下:白血球が感染巣に集まって病原体を退治する機能などが弱まることが知られています
細血管障害:血管障害から血行障害がおこってくると、組織そのものが脆弱になる、組織の炎症修復能力が低下する、などの問題が生じてきます
糖尿病で感染症に対する免疫が落ちたところで、感染症にかかったのかもしれません。
その方の話では、感染症にかかって炎症がおきることで血糖値が急激に上昇して亡くなったのかもしれないとのこと。
慢性的な糖尿病を持っている人は、意外と高血糖になっても生きながらえることができるようなんです。
ところが普段の血糖値が正常な人が一気に350を超えるような高血糖状態に持っていかれると、死んでしまうこともあるんだそう。
さらに、20代という若い人が単なる肺炎で死ぬことは極めてなこと。いろんな不幸なできごとが重なってこのような結果になってしまったのではないかとおっしゃっていました。
今となってはなにも分かりませんが。
双極性障害では負の連鎖の出発点である「飲酒」は厳禁
本当の死因がどうなのかはぼくは分かりません。
でも、一つ言えることは双極性障害を持っている人の飲酒はダメ。
理由はさっきも書きました。
- 飲酒によって生活習慣病を発症する
- 生活習慣病によって命が縮まる
- 酔った勢いで自殺に走る危険性がある
ちょっとくらいの飲酒なら大丈夫。
そういう軽い気持ちが悲惨な結果を招いてしまう可能性があるんです。
「若いから」。それだけで対処が遅れ命を落とすこともある
双極性障害を持つ若い人だけでなく、これは健康な若い人にも言えることです。
若い人は体力があるので、症状が少々重くても医療機関を受診するのが遅れがち。
これくらいなら大丈夫だろう
と放置しているうちに症状が悪化し、病院につれて行った時にはすでに手遅れになっている。
これはカンボジアだけでなく日本でもあることだと、さっきのお話しをしてくれた医療の専門家はおっしゃってました。
若いから大丈夫。
若さを過信せずに対処できるように一般市民もしっかりと学ぶ必要がありますね。
まとめ
双極性障害を持つ人を亡くした、その過程をゆっくりと自分なりに考えてみました。
双極性障害を持つ人の死亡リスクは自殺だけではありません。
鬱の状態を抜け出したいがためにアルコールに走ってしまう。
これが身体を蝕み、生活習慣病や感染症など自殺以外の理由で命が絶たれてしまうことがあるんです。
しっかりと病気と向き合い、身体の状態を観察することが大事。