こんにちは、moriです。
あなたは外国人技能実習生制度という制度をご存知ですか?
外国人技能実習生制度というのは、途上国の人たちを決まった期間日本の企業などに受け入れて、そこで得られた知識や技能などを彼らの国で役に立ててもらおうという制度です。
一見素晴らしいことのように思えるんですが、いろいろと問題が噴出していて「現代の奴隷」とまで言われることも。
日本への好感度が97%から58%に激減。日本へのイメージを悪化させるだけならこんな制度はいらない
こんなショッキングなニュースが報じられました。
「日本の印象良かった」97%→来日後58%に激減 ベトナム人技能実習生調査 龍谷大
リンク先の記事はすでに削除されていて見ることはできませんが、実際に調査を行った方へのインタビュー記事が載っていたのでそちらもリンクを張っておきます。
ベトナム人留学生はなぜ技能実習生を調査したのか(1)差別と搾取の技能実習制度と「憧れの日本」(巣内尚子) – 個人 – Yahoo!ニュース
最初の方にも書きましたが、外国人技能実習生制度には大きな問題があります。それは技術習得という名の下での不当な待遇で労働させられること。
彼らは、先進国である日本で多くの技術を習得したいという思いで来日します。来日した彼らは、そして、それぞれが様々な企業で最長5年間(2016年11月28日の法改正で3年から5年に変更)技術を習得するために働くんですよ。
でも運が悪く、変な企業に配属になった人は劣悪な環境で働くことを余儀なくされます。散々こき使われたあげく対日感情が悪化してしまう。
繰り返しになりますが、彼らの不満の大きな原因は彼らの待遇なんです。
外国人技能実習生として日本にやってくる若者たちは、主に途上国からやってきます。日本人の中には途上国の人たちを見下しているがいるんです。
どうせ途上国の人間なんだから、この程度でいいだろう
こんな考えを持っている人は結構多いんじゃないですか?
彼らに対して真剣に向き合おうとしてない。どこか上から目線で見下している。恥じるべき行為だって自覚すべき。
これ以上対日感情を悪化させるなら、外国人技能実習生制度なんていう制度は止めてしまえばいいんですよ。
希望に満ちてやってくる人を絶望の底に突き落とすような制度。必要か?
政府はもっと外国人技能実習生を受け入れる企業を取り締まるべきですね。
対日感情ってものすごく重要なものです。その対日感情の激減は国としての大きな損失じゃないですか。
ぼくは少しの期間ではありますが、海外に住んでいたので対日感情の重要性については少しくらいは分かっているつもりです。
好きな人には協力したい、嫌いな人には協力したくない。
これは人間の感情としては当たり前のこと。最終的には好きか嫌いかというのが重要な意味を持つんです。
だから、わざわざ対日感情を悪化させるなんてことをするっていうのは本当に意味不明ですわ。そしてそれを厳しく取り締まらないのもおかしい。
このままじゃダメ。外国人技能実習生制度は日本のイメージを悪くするだけの制度になってしまう。
外国人技能実習生制度は安価な労働力を得るための制度なのか?
外国人技能実習生として日本で働けるのは最長5年間です。でも、実際には1年くらいで母国に帰国する人が多いんだそうです。
その原因の多くは劣悪な待遇のようです。
それじゃあ、帰国後の彼らはどうなるのか?
日本で学んだことは何一つ活かせないような生活を送っているっていうじゃないですか。これってこの制度の目的を全然達成できてないってこと?
外国人技能実習制度の趣旨にはこう記されています。
(1)技能実習生は、修得技能と帰国後の能力発揮により、自身の職業生活の向上や産業・企業の発展に貢献
(2)技能実習生は、母国において、修得した能力やノウハウを発揮し、品質管理、労働慣行、コスト意識等、事業活動の改善や生産向上に貢献
(3)我が国の実習実施機関等にとっては、外国企業との関係強化、経営の国際化、社内の活性化、生産に貢献
この趣旨が空しく響きます。
今の状態だったら、外国人技能実習生制度は日本の企業が安価な労働力を手っ取り早く手に入れるための制度って言われても仕方ないですよね。
彼らが日本へ来る前にだって、たくさんやらないといけないことがあります。こうした来日前の手続きや研修などは、その国の「送り出し機関」と呼ばれる組織が担当するんです。
日本語の勉強などもそういった事前研修のひとつ。でも実際に送り出し機関が正常に機能していないことも多いみたい。
いざ技能実習生が日本に来ても、まったく日本語ができないなんてことも実際に起こってるようですよ。
さらに、送り出し機関が金儲けの機関となって、完全に金儲けに走っている場合もあるんだそう。
前に書いた、ベトナム人技能実習生の場合にはこのような状況になっていると書かれています。
技能実習生の多くはクイーさんのように渡航前費用として、渡航前訓練センターの授業料、ビザ、パスポート、各種手続きの手数料、航空券などの費用を仲介会社へ支払う。
渡航前費用は人によって異なるが、日本への技能実習生としての渡航の場合、100万~150万円という高額になるケースも少なくない。
さらに、渡航費用だけ徴収して、実際には海外に送り出さない仲介会社や、仲介会社を紹介するとして手数料をだましとる仲介者もおり、こうした詐欺行為によって大金を失う人も出ている。
ベトナム人留学生はなぜ技能実習生を調査したのか(2)送り出し地の実習生ビジネスと借金による「拘束」(巣内尚子) – 個人 – Yahoo!ニュースより
そして受入先の企業の中には、技能を教えるわけでもなく単純労働をずっとさせるだけ。それも最低賃金で。
技能を習得してもらって、母国での発展に役立ててもらうというのが趣旨じゃなかったの?
もう完全に人を騙す詐欺商法じゃないですか。
彼らは母国の人も支えなければならない
遠い国から単身来日した外国人技能実習生のことを日本側(受入機関、受入企業)はもっと理解すべき。
外国人技能実習生の中には、母国に家族を残して単身で来日している技能実習生だって多いと聞きます。彼らには支えないといけない人たちがいるんです。
でも、彼らの給料は日本の最低賃金。さらに家賃や何やらと言って少ない給料からどんどん引かれていく。
自分が生きていくだけでも大変なのに、仕送りもしないといけない。そりゃあ嫌気がさしますよね。逃げたくなるよ。
逃げ出す人続出。彼らのメッセージを受け止めよ
ニュースでも時々、技能実習生が逃げ出したっていうのを目にします。
外国人技能実習、昨年の不正行為383件 賃金不払いで失踪も | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
このサイトにはこのような記載があります。
外国人技能実習制度は、本来、途上国の人材育成を目的に、日本の企業や農家などで技術を習得してもらう制度だが、実際は、農業や建設現場の人手不足を背景に、安価な労働力確保の場として利用されるケースが多い。
実習生には職場を変わる選択肢が与えられていないため、長時間労働や賃金不払いを苦に実習生が失踪する事例が増え、国際人権団体も問題視している。
外国人技能実習、昨年の不正行為383件 賃金不払いで失踪も | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトより
彼らは好き好んで逃げてるんじゃない。追い詰められているんです。
そして必ず事前に何らかのサインを送ってます。そのサインに気づかなかったのが問題。もっともっと彼らの声に耳を傾けてください。
彼らの悲痛な声です。
- 緊急連絡する必要があるかもしれないのにどこにも電話がない。
- 部屋に時計すら置いてくれない。
- 体調が悪いと訴えたら、話も聞かずに「仮病」を使うなと言われた。
もうこんなことをされたら日本を嫌いになっても当然です。
もちろん、素晴らしい受入企業もあるのも事実。そうした企業に配属された実習生は満足度も高くて、実習生の期間が終わった後にもその企業で働きたいと言うんだそうです。
こんな素晴らしい企業が増えればいいですね。
2016年から技能実習法が成立。実習生の保護が強化されました
2016年11月28日に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るための 技能実習法」が成立しました。
この法律によって、これまで劣悪な環境で働かされていた技能実習生の待遇が改善されるといいな。
法務省の資料によると、技能実習法の趣旨はこのように記載されています。
技能実習法は、技能実習に関し、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けること等により、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るものです。
技能実習生の待遇という点では、技能実習法第2章第3節及び第4節で明記されています。
受入企業等に対して技能実習生をしっかりと大事に扱うようにということですね。もちろん、違反した時の罰則や、技能実習生が自ら申告できるようになりました。
技能実習生に対する人権侵害行為等について、禁止規定や罰則を設けるほか、技能実習生による申告を可能にします。
国による技能実習生に対する相談・情報提供体制を強化するとともに、実習実施者・監理団体による技能実習生の転籍の連絡調整等の措置を講じます。
そして、2017年には外国人技能実習機構が創設され、技能実習生に対して数々の支援を行うとのこと。直接技能実習生に対してのヒアリングもするようになるんでしょうね。
少しずつ制度も充実してきて、本来の「外国人実習生制度」が実現できるようになりますように。