レモンマーマレードは上級者向けのジャムだということを身をもって知った
秋になりスーパーの店頭にも国産レモンが並ぶようになりました。もうぼくはテンションが上がって仕方がありません!
国産レモンの良いところは皮まで使ったジャムが作れること。
そしてレモンをそのままジントニックに入れて飲めることです。
ぼくが強調したいのは、国産のレモンは、外国産のレモンにはほぼ間違いなく使われている農薬を気にしなくてもいいんです。
皮を使った料理を躊躇なく作れることが嬉しくて仕方ないんですよ。
先日スーパーで、緑が美しい国産レモンをたくさん買いました。
ちょうどいい機会なので、ずっと作りたいと思っていたマーマレードを作ってみましたよ。
しかし、大失敗!!
恥ずかしいですが詳細にご報告したいと思います。
ぼくはマーマレードをなめていました。ただ単純にレモンを砂糖と一緒に煮たらいいと思っていたんです。
でも実際に作ってみたら大失敗。悶絶するほど苦いマーマレードになってしまったのです。
レモンマーマレードを作ったけど大失敗!苦すぎて食えん😖
— もりれい(たまねぎ好きの自炊愛好家) (@mori_rei) 2016年10月31日
こちらが大失敗したレモンマーマレードです。
見た目はそんなに苦みがあるとは思えないんですが、食べてみるともうビックリするほど苦いんです。
知らずに一気にほおばると失神するレベル。
イチゴジャムやリンゴジャムは以前作ったことがあるんですが、特に難しくはありませんでした。
普通においしいジャムが作れたんです。
でも、レモンマーマレードは悶絶する苦さ。この違いは一体何なのか?
悶絶する苦さのレモンマーマレードの作り方
それでは悶絶する苦さのレモンマーマレードの作り方を簡単に紹介します。
まったく誰の役にも立ちませんが、読み物として楽しんでいただければ…
こんな風に作ってくださいという意味ではなく、こんな風に作ってはいけないという意味でのレシピですね…
ちなみにおいしいレモンマーマレードの作り方はこちらで紹介しています。
材料
なんとなくワインを入れたらおいしいかもと安直に考えました。
結果、完全な無駄となってしまいましたが…
- 国産レモン:2個(重量約180g)
- グラニュー糖:75g
- 白ワイン:200cc
作り方
レモンは軽く表面を洗って細かく刻みます。
鍋に刻んだレモン、グラニュー糖、白ワインを入れて火にかけます。そして焦げ付かないように木じゃくしで時々かき混ぜます。
ぐつぐつ。
20分位煮込むとこんな感じになります。これで完成!
レイ
死ぬほど苦い!!
これで悶絶するレモンマーマレードの完成です。
強烈な苦みの原因はリモノイドだった
この強烈な苦みは一体何なのか?
それはリモノイドと呼ばれるものが原因でした。
特にリモノイドの中でもリモニン、ノミリンというものが苦みの大きな原因らしいということです。
レモンの苦味はリモノイド。特にリモニンとノミリンが問題みたい。強烈に苦い反面、強い抗酸化力もあるのでダメなものとは言い切れない。
でも今日作ったレモンマーマレードみたいに強烈に苦いと食べながら意識が飛んでしまいそうになるので対策が必要やな。— もりれい(たまねぎ好きの自炊愛好家) (@mori_rei) 2016年10月31日
四国地域イノベーション創出協議会が出している文書を見るとこんな表記が見られます。
柑橘には、フラボノイドやリモノイドをはじめとして特有の成分が含まれている。
リモノイドは、ミカン科とセンダン科の植物に存在するトリテルペン誘導体の総称で、リモニン、ノミリン、ノミリン酸、イチャンギンが苦味を持っている。
このうち柑橘加工にとって問題となっているのは、リモニンとノミリンで他のリモノイドは成熟果実における含量が低いためほとんど問題にはならない。
リモノイドの苦味閾値は7~12ppmとされている。低い濃度で苦味を呈することから、これまでリモノイド含量の低い原料の使用や成分の除去、苦味緩和について様々な研究がなされている。柑橘のリモノイドより
リモノイドには色んな苦み成分が入っているけど、リモニン、ノミリン以外は量が少ないから特に問題じゃない。
問題なのはリモニン、ノミリンの2つということのようです。
そしてこのリモノイドはレモンに多く含まれているんです。
リモニンについて調べると皮と種に多く含まれていることが分かりました。
ミカン属の果実に含まれ、特に種子には高濃度で含まれていることが多い(オレンジ、レモンなど)。ハクセンなどの他の植物にも見られる。
レイ
リモリンを徹底的に排除だ!!
そんな風に一瞬思ったんですが、それも良くないんです。理由はこの3つ。
- マーマレードには適度な苦みが必要
- リモネンには優れた健康効果がある
- 皮を完全に取り除くとペクチンが少なくなってしまう
マーマレードには適度な苦みが必要
まずはマーマレードとしての魅力から。
マーマレードの魅力はほんのりとした苦み。
あの苦みがなければマーマレードじゃないです。
だから完全に苦みを取り除いてしまうと美味しくない。
リモネンには優れた健康効果がある
苦みの成分になっているリモネンには優れた健康効果があることが分かってきました。
ヒトの疾患に対してリモニンを用いる様々な研究が行われている。柑橘類の種子からの抽出物は抗ウイルス作用を示し、HIV-1やHTLV-Iなどのレトロウイルスに対する複製阻害作用が報告されている。神経保護作用や大腸癌細胞の増殖抑制も確認されており、マウスを用いた実験では抗肥満薬としての作用も見られた。
健康効果のあるこの成分を捨ててしまうのってもったいなくないかい?って話。
皮を完全に取り除くとペクチンが少なくなってしまう
マーマレードはドロッとしていますよね?
このドロッとしたものはペクチンが作っているんです。
ペクチンはレモンの皮の部分に多く含まれている多糖類で、砂糖、酸性の条件下でどろっとしたものに変化します(ゲル化)。
これがレモン果汁とレモンそのものを比較した表なんですが、ペクチン(水溶性食物繊維)を比較してみると量が全然違うことがわかります。
果汁だけを見るとペクチンはほとんど含まれていませんね。
レモンの粒々の皮には含まれているかも知れませんが、外の皮を捨ててしまってはペクチンが足りなくてマーマレードが作れないということになりかねません。
苦みを抑えるための3つの対策
悶絶するほど苦いレモンマーマレードを作ってしまったわけですが、次回はもっと上手に作れるように対策を考えてみました。
考えた対策は3つ。
- 種をしっかりと取り除く
- 皮は何度かゆでこぼす
- 熟したレモンを使う
それでは簡単にその理由を説明していきます。
1.種をしっかりと取り除く
リモニンは種の部分に多く含まれています。
レモンの種を間違ってかじった時、めちゃくちゃ苦かった経験ありますよね?
レモンの種はとにかく苦み成分が大量に入っているのは経験的に分かってます。
ということは、種を取り除くだけでも苦みは随分と抑えられるはず。
それに種をしっかりと取り除いておいた方が食べやすくなりますね。
好きで種を食べたい人なんていないと信じたい。
2.皮は何度かゆでこぼす
皮にもリモニンがたっぷりと含まれています。でも皮を捨ててしまってはマーマレードの魅力がなくなってしまう。
そんな時にはゆでこぼすのが良いと教えてもらいました。
ゆでこぼすっていうのは「一度茹でて、茹でた湯を捨てるってこと」です。
これで苦み成分をある程度減らすことができるはず。
問題は、ゆでこぼしを何回行うかってことです。
これは実際にやってみて、その都度皮を味見すればいいでしょう。
3.熟したレモンを使う
今回使ったレモンは青いレモンでした。
色々と調べていると、レモンは熟すと成分が変化して苦み成分が減っていくようです。
つまり青いレモンより完熟の黄色いレモンの方が苦くないってこと。
ちょっと難しい言葉で言うと、レモンの中に入っているリモニンなどのリモノイドが成熟後期にリモノイド配糖体というものに変化するということです。
リモノイド配糖体には苦みがないのでマーマレード作りには最適ですね!
苦くなったらゆで直して苦みを流してしまう
今回のようにとんでもなく苦くなってしまったレモンマーマレードはもはや食べものではありません。
食べると体調を壊すのは目に見えるのでゴミ箱へ直行でしょう。
でも、せっかく作った物を捨てるのってもったいないです。
そんな時には、レモンマーマレードを湯でしっかりとゆで直しましょう。
レモンマーマレードに含まれている苦みを全部湯に溶かして捨ててしまうんです。
せっかく入れた砂糖は無駄になってしまいますが、レモンも全部捨てるより少しはマシかと。
レモンマーマレードの材料を揃える
レモンマーマレード作りには農薬不使用の国産レモンが最適。
砂糖は純度の高いグラニュー糖がおすすめ。
おいしくレモンマーマレードを作る方法はこちらで詳しく紹介しています。
作るのが面倒なら市販のレモンマーマレードをどうぞ。